多くの言い伝えを持つ大杉。
伊勢峠の頂上に大杉があった。高さ四丈八尺であった。これは近江の湖水の柳と夫婦であった。あるときその杉を切ることにした。村の人が一日切っても、晩村の人が帰ると、夜のうちに元通りになっていた。そんなことを毎日くりかえしていた。ある日修行者が通りかかって、木のコッパをたいてしまわなければ、いくら切っても元通りになると教えた。それでコッパをたいたら木は倒れた。大杉が倒れて、ここが胴中(まん中)だといったところが、お宮の後ろの「どうの森」である。ここがウラ(木の先)だといったところが「ここがほら」である。
伊勢の太夫のうちに、その大杉のケイ(根)がある。味噌の味が変わりかけた時、その杉のケイを入れるとうまくなる。
大杉の倒れた後ろにはえた杉を雨降り杉という。少し曇ると、枝からしずくが降る。
ふるさと和泉「伝説と民話」