蝶の水(油坂峠の句碑)

岐阜県郡上市白鳥町と福井県境(旧和泉村)にある「油坂峠」に湧き出る清水のこと。また、そこに建てられている句碑。

 油坂峠は上り下りに油汗を流すほどの急坂からこの地名が生まれたと言われるほどの峠で一滴の水もなかったそうです。この難所で人や牛馬が苦しむ様子を見かねた、先祖が旧和泉村東市布出身で旧白鳥村の豪商、原佐次郎が神仏の加護を一心に念じながら岩を掘ったところ、不思議なことに清水が湧き出したそうです。この清水を探し当てた際に、「・・・歓びの声を発しけるやいなや いずこともなく数十羽の蝶一群れ来たりて水上に舞うは・・・」、「舞う蝶も 影を移せし 清水かな」と、感激を文と俳句で記してその喜びを伝える句碑が残されていたことから蝶の水と呼ばれます。
 句碑には3首の俳句が刻まれ、上記俳句ではありませんがうち一つは松尾芭蕉の流れを汲む山本友左坊という俳人の手によるものとのことです。現在ある句碑は2代目です。初代の句碑は昭和と平成の移り変わりの頃に盗難にあいましたが、幸いにも拓本が残されていたことから、この拓本を元に関係者の快諾を得て、平成12年に再建されたものが現在の句碑です。
 国道158号線を中部縦貫自動車道(油坂峠道路)に入らず、そのまま国道を3分程度走ると、左側に案内看板が見え、そこから徒歩10分から15分程度で、標高800メートルの山頂付近にある蝶の水(句碑)に至ります。
 また、同じく国道158号線沿い九頭竜ダム上流の上半原地区に九頭竜湖水質対策ダム(副ダム)があります。このダムの愛称が「蝶の湖」と名付けられ、当時の地元小学生の手による「蝶の湖」と刻印された碑が建てられています。